代表よりごあいさつ

 

 この度、代表理事に就任いたしました緒方恵と申します。

 

 思い返せば、わたしがこの活動を始めたのは、2007年常夏の太陽が照りつける8月の沖縄でした。 CAPプログラムを届けるグループは、北は北海道から南は沖縄までにわたり、みなさん子どもへの暴力防止の活動に尽力されています。わたしは、NPO法人おきなわCAPセンターでCAPに出会い、素敵なメンバーたちに囲まれ、時に自分自身もエンパワメントされながら、活動を始めました。

 

 人は暴力にあったら、どうしたらいいかわからないと不安になり、暴力という圧倒的な力の前に、何をしてもダメなんじゃないか…と無力感に陥ります。そんな中で、すべての子どもたちには安心・自信・自由の権利があると伝えることで人権意識を育み、「〜もできるよ」「〜してもいいんだよ」と行動の選択肢を増やし、練習していきながら、不安を勇気に変えていくのがCAPでした。すべての子どもたちが本来持っている「生きる力」を信じ引き出すことで、さまざまな暴力から自分を守る方法を伝えるというこの活動にわたしは心動かされました。

 

 その後沖縄を離れ、縁あって、このたび、東京のNPO法人CAPユニットで代表理事をお引き受けすることになりました。まだまだ未熟なわたしを支え、励ましてくれる、熱いハートと冷静な頭脳で精力的に活動するメンバーとともに、今後も活動に邁進していく所存です。

 

 私たちのCAPユニットは、2001年に市民団体として新宿区に誕生し、来年で15歳になります。わたしはCAPの活動を始めて約8年が過ぎ、少しだけですが、歳をとりました…。
 その間、私たちの活動はどうなってきたでしょうか。
 私たちを取り巻く社会は暴力のない社会に変わったでしょうか。
 子どもたちが安心して自信を持って自由に生きていきやすい社会になっているでしょうか。
 昨年度の全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、8万8,931件で過去最多となってしまいました。多くの人が認知するようになり、以前よりも相談をするようになったということを差し引いてもこの数はやはり多いのです。
 児童虐待だけでなく、子どもが被害者となり、ともすると残酷すぎて目を覆いたくなるような事件がニュースになっています。
 そんなニュースを連続で目にしたときは、私たちの活動が砂地に水を撒いていることのように思え、やるせない気持ちがふとよぎることもあります。
 それでもやはり、「安心・自信・自由」に生きる権利があるんだということを一人でも多くの子どもたちに伝え続け、「大切な自分」を暴力から守って欲しい!と私たちは思っています。

 

 最近、私たちは子どもへの暴力防止に15年にわたり携わってきた経験をもとに、独自で《デートDV防止プログラム》を開発しました。若い世代に向けて「あなたの心と体を大切にしてほしい」と伝えています。また、言葉で伝えることが苦手だったり、暴力でしか自分の感情表現ができなかったりする子どもたちが自分を表現するきっかけをつかみ、自尊感情を高めることで生きる力を育んでいける《気持ちのワークショップ》の提供も始めています。

 

 人の心と体はいろいろな暴力により傷つけられ、暴力がなくなった後でも、つらく感じ、時には、長く苦しむこともあります。人を傷つけていることに気づけず、暴力をふるう側にたってしまうこともあるかもしれません。それでも、私たちが大事にしている「生きる力を引き出す」エンパワメントの関わりを、お互いにし合うことで、暴力のない社会に近づいて欲しいと願っています。

 

 エンパワメントの種を蒔き続けていけば、砂地にもいつか緑の芽が出てくることを信じて、私たちCAPユニットはこれからも活動を続けていきます。

 今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2015年12月吉日
特定非営利活動法人CAPユニット
代表理事 緒方 恵

 

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